食べごたえも旨味も兼ね備えているのにリーズナブルで家計も救う我らが鶏胸肉!
そんな鶏胸肉を使った料理レシピを見ていると、片栗粉をまぶすと出てくることが多いがそれはなぜなのか?どんな理由で片栗粉が必要なのか?面倒だからはぶきたいのですが・・・。
でもそれが、パサつきがちな鶏胸肉を簡単にしっとりと柔らかく仕上げる方法なんです!
鶏胸肉はサッパリとしてどんな味にも馴染みやすく美味しいのですが、調理の仕方を工夫しないとパサつきや固さが気になることもあります。そんな時に使えるのが片栗粉なんですが、ではなぜ鶏胸肉を柔らかく仕上げることができるのでしょうか?
鶏胸肉に片栗粉をまぶすとなぜ柔らかい仕上がりになる?
ポイントとなるのは水分と油脂!
鶏胸肉に限ったことではないですが、肉を加熱すると65℃付近からタンパク質は縮み水分や油脂(肉汁)が肉の外に流れ出ます。水分が多く失われるほど肉はパサパサと固い食感となります。
逆に水分や油脂を肉に留まらせることができればよりしっとりと柔らかい食感に仕上げることができます。鶏胸肉に片栗粉をまぶして衣をつくることで、加熱時の肉汁の流出がおさえられ保持されます。そのため、しっとりと柔らかい食感になります。
これは肉が柔らかくなるのではなく、片栗粉で覆うことで固くなるのを防いでいるということ。例えば、ふっくら炊けたご飯もそのまま放置しておくと水分が飛んでカチカチになりますよね。それだけ食材に含まれる水分量が食感に影響するということです。
この片栗粉を使った下処理は鶏胸肉のほかに、豚肉や魚などにも同じように利用できるテクニックなので、覚えておくと役立ちますよ。
そもそもなぜ鶏胸肉は固くパサパサになりやすい?
その原因は鶏胸肉に脂肪分が少ないため。肉は脂肪が多く含まれているものほど加熱調理したときに柔らかく感じます。黒毛和牛サーロインなど肉と肉の間にきめ細かく多くのサシ(脂肪)が入ったものは驚くほどの柔らかさですが、それは熱によって脂肪が柔らかく溶かされ生まれる食感ともいえます。
そもそも鶏肉は牛豚に比べて肉に含まれる脂肪が少ないんです。さらに胸肉はもも肉よりも脂肪が少ない部位なので他の肉と比べるとどうしても固く感じてしまいます。
そして、この脂肪の少ない肉の水分までも加熱時に奪ってしまってはパサつきます。脂肪もない、水分もないとなると柔らかい触感を生み出す要素がなくなってしまうんですね。だからこそ鶏胸肉の調理には片栗粉をまぶすなどの工夫が不可欠だったりまします。
鶏胸肉に片栗粉をまぶして焼くときのポイント!
鶏胸肉に片栗粉だけまぶしたり、調味料と一緒に揉み込む方法などありますが、いずれも水分と旨味を閉じ込めてくれます。
鶏胸肉の切り方のポイント!
鶏胸肉は繊維を断つように削ぎ切りにします。厚さは1cmくらい。
また、肉は調理前に常温に戻しておくのも固くしないコツ。
片栗粉をまぶすポイント!
片栗粉の量は、鶏胸肉1枚に対して大さじ1~2程度で十分。上から振りかけてもいいですし、袋に入れて調味料と揉み込んでもOK。
いずれにしても切り分けた肉全体にまんべんなくまぶすのが重要です。
※調味料を加えるなら先に揉み込み片栗粉は最後に入れるとダマになりにくいです。
※塩やしょう油など塩分があるものを加えた際は長く放置しない。浸透圧で肉の水分が外にでて固くなる原因になります。焼く直前に片栗粉と揉み込みます。
焼き方のポイント!
火加減は弱火~中火。油を入れ熱したフライパンに肉を並べます。焼いているときはいじらずに待ちましょう。片栗粉が剥がれる原因になります。両面焼いて火を通します。
1cm厚みの削ぎ切りで一口大の肉なら、片面3~4分ずつくらいで焼き上がると思いますが、条件によるので調整してください。加熱し過ぎは固くなる原因です。
フタをして焼くと肉の表面がツルン、プルンとした歯ざわりになります。フタをせずに焼くとサクッ、カリッとした歯ざわりが楽しめます。
他の野菜と炒めものにする場合は、鶏胸肉だけ先に両面焼いて衣を固めてから野菜を加えます。最後にタレも加えて炒めると片栗粉の効果でトロミがつきます。味が絡みやすくなりご飯がすすむ一品に!
片栗粉なし・まぶす・揉み込む、の食感の違いは?
実際に、鶏胸肉そのままのもの、片栗粉だけまぶしたもの、酒と片栗粉を揉み込んだもの、3種類を一緒に焼いてみました。焼き上がりの違いをまとめました。(塩と粗挽き黒こしょうで味付け)
●片栗粉なしそのままの鶏胸肉
焼き色が付いた表面は乾き気味。中もパサつきがあり、少し固さもある。やっぱりモモ肉のほうがいいかな~っと頭によぎる。
●片栗粉だけまぶした鶏胸肉
表面はサクッとした歯ざわり。中はパサつきと固さを感じない。しっとりと柔らかい。仕上がりに満足してるのでモモ肉は頭をよぎらない。
●酒と片栗粉を揉み込んだ鶏胸肉
片栗粉だけのものと比べて衣が厚くなる。濃い焼色がついて表面もカリッとしてサクッよりしっかりした歯ざわり。中はふんわりと柔らかく、しっとりさも少しジューシーさを感じるほど。これが鶏胸肉か?とプチ感動できるレベル。
ということで酒と一緒に片栗粉を揉み込んだ鶏胸肉が一番柔らかい仕上がりとなりました。肉がお酒の水分を取り込んだのと、衣が厚くなったのが原因だと思います。もともと酒も肉を柔らかくする効果があるのでなおさらですが、なければ水に変えても近い結果が得られたと思います。
片栗粉だけまぶしたものもパサつき感なく食べられるので、酒と揉み込むかは好みの問題といったところ。どちらも食べる手が止まりません。
実際に、片栗粉を使うとパサつきがちな鶏胸肉も柔らかく仕上げることができるのでおすすめです。少しの手間でこれまでの鶏胸肉への評価が激変すること間違いなし!